皐月とは?
旧暦の皐月(5月)に咲くことから命名されたツツジ属の花
DATA
学名は「Rhododendron Indicum」、英名は「Satsuki Azalea」。
ツツジ科ツツジ属の常緑低木。
5月中~6月中旬頃にかけ、先端が五裂した3~5cmほどの漏斗形の花を枝先に1~2輪つける、花の色は朱赤色または紅紫色。
日本固有種、本州の関東以西(関東地方南部から九州)の川岸の岩肌などに自生、水湿を好み乾燥には弱い。
高さは10cm~1m程度。
名前の由来
ツツジの一種で花の形もツツジとよく似ており見分けるのが難しいが、他のツツジに比べて約1か月程度遅い旧暦の皐月(5月)に咲くことから「皐月(サツキ)」または「皐月躑躅(サツキツツジ)」と呼ばれる。
日本固有種だが学名の「Indicum」は「インドの」という意味。
利用・用途
ツツジとしては「万葉集」に9首詠まれているなど古い時代から観賞用として親しまれたが、この頃はツツジとサツキは明確に区別されていなかった。
江戸時代には数多くの園芸品種も生み出され、現在も生け垣や道路の植え込みとしておおく用いられているほか、盆栽・鉢植えなどでも親しまれている。
有名な生産地としては栃木県鹿沼市、三重県鈴鹿市などがよく知られている。
「サツキ」と「ツツジ」の違い
植物学的観点からはサツキはツツジ科ツツジ属に属し、そのツツジ属全体が「ツツジ」と呼ばれていて、古くは両者は特に区別されていなかったと思われる。
サツキがツツジと区別されて名前が登場するのは江戸前期、1645年(正保2年)に京都の俳人・松江重頼が編纂した俳諧論書「毛吹草(けふきぐさ)」でのことで、5月の季語として「五月つつじ」が登場する。
また1692年(元禄5年)に有名な植木職人の3代目伊藤伊兵衛にが刊行した世界最古のツツジとサツキ専門書「錦繍枕(きんしゅうまくら)」では両者は別の部に分けられて紹介されており、この書物が版を重ねたこともあり古い時代からの慣習で区別されるようになったと考えられている。
両者の主な違いとしては開花時期がツツジが4月中~5月上旬であるのに対し、サツキは5月中~6月中旬と約1か月遅いことが挙げられる。
よく似た植物
ツツジ科ツツジ属の花としてはツツジの他に「シャクナゲ(石楠花・Rhododendron)」「アザレア(Azalea)」「カルミア(Kalmia)」などがある。