木蓮とは?
1億年前の恐竜時代にも生息していた「地球上で最古」といわれる花
DATA
学名は「Magnolia Liliflora(モクレン)」または「Magnolia Heptapeta(ハクモクレン)」、英名は「Magnolia(マグノリア)」。
モクレン科モクレン属の落葉小高木。
アジア及びアメリカに約90種類が分布するが、日本で代表的なのは以下の2つ。
「モクレン(木蓮)」
一般的には「シモクレン(紫木蓮)」のことを指し、花びらの外側が赤紫、内側が白色で内側と外側のコントラストが美しい。
「ハクモクレン(白木蓮)」
クリームがかった白色の花を咲かせる、太陽の光を受けると花びらの南側が膨らみ花先が北側を指すことから「磁石の木(コンパスフラワー)」の別名。
開花時期は3月下旬~4月末で、ハクモクレンの方が10日ほど早い、葉に先立ち大型の花を上向きに咲かせる。
原産地は中国南西部(雲南省・四川省)、日本でも全国各地に自生する。
シモクレンは高さ3~5m、ハクモクレンは高さ15mになる高木、果実は長い楕円形の集合果で種子は赤い。
名前の由来
名前は中国名の「木蓮(木蘭)」を音読みしたもの(花が蓮や蘭に似ている木)。
属名の「マグノリア」は18世紀のフランスの植物学者マニョールの名前にちなむ。
歴史
欧米ではツバキ、ツツジとともに三大花木とされており、世界でもポピュラーな花木の一つ。
また地球上で最古の花木といわれており、1億年以上も前の恐竜時代の白亜紀の地層からモクレンの仲間の化石が発掘されている。
日本では飛鳥・天平時代の僧侶の着衣が木蘭(もくれん)染めと呼ばれており、また平安時代中期に編纂された「和名類聚抄」にもその名が見られることから、古くから日本に渡来していたことが分かる。
利用・用途
元々は観賞用ではなく漢方のために植えられた、開花前の2~3月頃につぼみを採取し日干ししたものは辛夷(しんい)と呼ばれる生薬で、蓄膿症や頭痛に効能。
上品な強い芳香を放ち、香水の材料としても使われる。
観賞用としても古くから春を告げる花として庭木や公園樹などとして親しまれてきた。
よく似た植物
モクレン属に所属する植物でシモクレンとハクモクレン以外に日本でよく見られるものとしては、早春に白い花を咲かせ別名「田打ち桜」の別名を持つ「コブシ(辛夷)」、東海三県の丘陵地のみに自生する「シデコブシ(幣辛夷・四手拳)」がある。