京都市左京区岩倉大鷺町、宝が池公園に隣接する国立の国際会議場。
運営は公益財団法人国立京都国際会館が行っています。
1966年(昭和41年)5月21日、日本における最初の本格的な国立の国際会議場として創設されました。
設計にあたっては「国連総会議場のような国際会議のための建築を日本にも造ろう」という構想のもと、1963年(昭和38年)、日本では初めてとなる国による公開コンペが行われ、195点の応募作の中から大谷幸夫の案が最優秀作品に選定されました。
訪れる人々にに強いインパクトを与える台形・逆台形の空間の組み合わせで形づくられたこの斬新かつ気品のある建物は、古都京都の風情を損なわないようにと、合掌造りあるいは神社の社殿を彷彿とさせるような日本の伝統様式をモチーフとした近代建築美を誇り、かつ古都京都や周辺の自然との調和を備えた文化遺産として、DOCOMOMO Japanの「関西のモダニズム建築20選」や建設省(旧国土交通省)の「公共建築百選」に選ばれているほか、「建築業協会賞」なども受賞しています。
本館のみであった1967年にBCS賞を受賞したほか、
1988年、展示棟で同じくBCS賞受賞
1993年、BELCA賞受賞
1998年、公共建築百選に選定
1999年、「日本の近代建築20選」に選定され、同評価は2003年9月、「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に引き継がれる
更に「優良ホール100選」にも選定されています。
オープンした後も、プレスセンター及びイベントホールの新設、アネックスホールの建設など、施設の一層の拡充が図られ、また1997年(平成9年)の京都市営地下鉄烏丸線の全線開業と同時に最寄り駅として「国際会館」駅が設置され、新幹線駅や都心部からのアクセスが格段に向上しました。
そしてこれまでに有名な「京都議定書」を採択した「地球温暖化防止京都会議」(京都会議)を筆頭に、国連軍縮会議、国際電気通信連合全権委員会議、国際捕鯨委員会科学委員会及び総会、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)締約国会議、ユネスコ世界遺産委員会、アジア欧州会合(ASEM)などの重要な国際会議が数多く行われています。
現在も毎年1月には日本青年会議所の京都会議、11月には稲盛財団主催による京都賞授賞式や記念講演会が開かれていて、また毎年1月に開催される「全国都道府県対抗女子駅伝」、12月に開催される「全国高等学校駅伝(男子)」の折り返し地点としてもおなじみとなっています。
館内にある回遊式日本庭園は建築家・大谷幸夫が日本の原風景の里山や棚田にも通じうる庭園として設計したもので、宝ヶ池を借景に、豊かな自然に包まれた庭園は「人は自然の中に集い話し合う」というコンセプトのもと、宝ヶ池周辺の山々や木立を映し出す「幸ヶ池」と「八つ橋」が一体となって、自然美に溶け込むように配置されているといいます。
会議の合間に散策できるほか、最大3,000名までのガーデンパーティーにも対応しており、水上ステージで繰り広げられる伝統芸能や庭園全体を使った日本情緒あふれる演出は世界中のゲストを魅了しています。
また春は梅に桜、夏はつつじ・さつきに新緑、秋は紅葉も楽しむことができ、通常公開はされていませんが、毎年春に開催される「桜・さくらスペシャルデイズ」では庭園が一般公開されていて、桜を楽しむ多くの市民で賑わいます。
この他にも茶室「宝松庵」は海外のゲストに日本文化の真髄に触れてもらうことができるよう、本格的な茶会はもちろん、要人のおもてなしや会議の同伴者プログラムで日本の伝統文化紹介の場として、また会議の合間の安らぎのひとときとして、幅広く利用されています。