京都府宇治市宇治乙方、京都市の南東に位置する宇治市を中心を流れる宇治川に架かる宇治橋の東詰にある京阪宇治線の駅で、中書島駅から南へと続く宇治線の終着駅。
1913年(大正2年)6月1日、京阪宇治線の開通と同時にその終着駅として開業したのがはじまりで、1943年(昭和18年)10月に戦時中の企業統合政策によって、京阪電気鉄道が阪神急行電鉄(現在の阪急)と合併するといったんは阪急の駅となりましたが、戦後の1949年(昭和24年)12月に京阪神急行電鉄から京阪電気鉄道が再び分離独立すると、再び京阪の駅となっています。
現在の駅舎は1996年(平成8年)に行われた宇治橋の架け替えに合わせて1995年(平成7年)6月17日に建て替えられたもので、駅前の再開発に伴って元の位置より約180mほど北側の現在地へと移転されました。
駅舎のデザインは南海の空港特急車両・南海50000系電車ラピートをデザインしたことでも知られる建築家・若林広幸が担当し、鉄筋コンクリート2階建ての構造に、勾配をつけた瓦葺きの屋根部分や円形の通気口が目を引く独特の意匠が特徴的であり、1996年(平成8年)10月1日には私鉄の駅として初めて通産省選定の「グッド・デザイン」に選ばれたほか、2000年(平成12年)9月19日の第1回「近畿の駅百選」にも選ばれています。
駅舎の移転に伴って旧地には駅前交通広場が整備されたほか、1997年(平成9年)には駅複合型商業施設を備えた京阪宇治ビルがオープンしたほか、2017年(平成29年)には駅ビル内に「観光案内所」も設置されています。
頭端式1面2線のホームを持つ地上駅で、駅舎および改札口はホーム頭端部にあり、コンコースは地下部分に設けられていて、駅入口のある駅ビルからJR奈良線の線路の下を通る地下通路を通って改札・ホームへと向かう独特の構造は鉄道ファンの間でも注目を集めています。
宇治橋の東詰に位置し、交差点を挟んで向かいには創業千年を超える老舗の通圓茶屋があるほか、宇治川右岸(東岸)をやや進んだ所には宇治橋を管理していることで知られる放生院(橋寺)、その先には宇治神社と世界遺産の宇治上神社や、紅葉の名所としても有名な興聖寺などのスポットがあり、宇治神社の前から宇治川に架けられた朝霧橋から中の島に整備された宇治公園や平等院のある左岸(西岸)へと巡ることができます。
また宇治橋を渡った西詰には源氏物語の作者である紫式部の像が設置されているほか、平等院へと続く表参道や縣神社の参道、宇治橋通り商店街、更には宇治街道を南西へ約900mほど進んだ先にはもう一つの宇治の玄関口であるJR宇治駅があり、こちらからも多くの観光客が宇治観光へと訪れます。