京都府宇治市宇治塔川、宇治橋の下流側すぐにある面積約1.6haの公園。
宇治川の左岸にある「よりみち公園」と、宇治川の中州に浮かぶ塔の島・橘島の2つの島からなる全長約500mの「中の島(中の島地区)」で構成されています。
1949年(昭和24年)6月8日に公園として指定。
宇治は古くから平安貴族の別荘地として知られたほか、また源平の合戦における「宇治川の戦い」の舞台となるなど歴史ロマンに溢れる街。
とりわけ宇治公園の一帯は、世界文化遺産の平等院や宇治上神社をはじめ数々の名勝・史跡に囲まれていることから、そのような歴史的景観と豊かな自然が美しく調和するように整備されており、橋などもデザインで架けられ独特の風情が漂っています。
その後2013年(平成25年)に公表された「宇治公園再生計画」に基づき、治水能力の向上のため景観などに配慮しつつ公園の再整備が進められています。
公園を挟んで南側には世界遺産・平等院、北側にも同じく世界遺産の宇治上神社や宇治神社など、多くの名勝、史跡があり、両者を結ぶように宇治川の川岸と塔の島、橘島は喜撰橋、橘橋、朝霧橋、中島橋の4つの橋で結ばれて回遊できるようになっており、観光客をはじめ周辺地域の人々の休息、散策の場所として親しまれているほか、また両者を行き来するために、利用する観光客も少なくありません。
また紫式部が「源氏物語」の最後の十帖の舞台にこの地を選んだことはあまりにも有名で、周辺には関連スポットが点在しており、源氏物語をテーマにしたまちづくりが進められているほか、公園を休憩スポットとして歴史散策を楽しむこともできるようになっています。
見どころとしては、まず塔の島にそびえ立つ高さ15mの美しい十三重石塔は、鎌倉後期の1286年に奈良・西大寺の僧・叡尊が魚の霊を供養するために造立したもので、洪水や地震でたびたび倒壊しており、現在のものは1756年(宝暦6年)の洪水で川に埋もれていたものが明治末期に発見・修造されたもので、石塔としては日本最大級で重要文化財にも指定されています。
塔の島には他にも宇治川の鵜飼いで魚を捕まえる海鵜が飼育されている鵜小屋があり、その愛らしい姿を間近で見ることができるようになっています。
また島内にはサクラ、マツ、モミジなどが植えられいますが、その中でも堤防沿いは桜の名所として知られおり、中の島の枝垂れ桜はそのシンボル的存在です。
春になるとお弁当を持参して訪れる方も多く、更に4月上旬には「宇治川桜まつり」が開かれ、多くの花見客で賑わいます。
その他にも夏の「宇治川の鵜飼」や秋の「宇治茶まつり」など、さまざまな行事の舞台にもなっています。