「北山通」は京都市のを東西に通るの通りの一つであり、市内の東西方向を結ぶ幹線道路としては最北に位置する通りにして、1985年(昭和55年)の全線開通と歴史の新しい道路。
区画整理された際に幹線道路として十二間幅(約21.8m)で造られたことから、地元では現在も主に高齢の方を中心に「十二間通(じゅうにけんどおり)」という愛称でも知られている通りです。
現在は世界文化遺産にも登録されている上賀茂神社と下鴨神社の2つの賀茂社の中間、古来より賀茂の地とされた地域の中央に位置しており、下鴨など洛北の高級住宅街をすぐ南に控えるものの、元々は現在も上賀茂の北側の一部でみられるような農耕地が広がっていた場所で、特産物として知られる京漬物「すぐき」や聖護院蕪や賀茂なすなどの京野菜の栽培が盛んであった以外は、一帯は上賀茂神社の境外摂社・半木神社が鎮座する半木の森だけが目立つ地域ででした。
しかし戦前の1924年(大正13年)に半木の森に京都府立植物園が設置されて以降、周辺には京都府立総合資料館(現在は京都学・歴彩館)や京都コンサートホール、陶板名画の庭のほか、京都府立大学や京都工芸繊維大学、京都ノートルダム女子大学、大谷大学、府立洛北高校などの教育・文化施設が集積する文化ゾーンが形成されていき、その一方で昭和初期に始まった市街地拡大の土地区画整理事業によって「北山通」の建設が決まり、高度経済成長期に入った昭和30年代(1955年頃)より計画が進行して長い時間をかけ整備が進められていき、1985年(昭和60年)に修学院までの全線開通となりました。
そして新たな幹線道路の開通は、昭和30~40年代の高度経済成長とも相まって周辺地域の市街地化を押し進めるとともに、1981年(昭和56年)には地下鉄烏丸線が北大路駅まで開通したことでますます便利になり、更に北山を経て岩倉に建設予定の京都国際会館まで延伸されることも決まり更なる地域開発が進められました。
このような社会情勢の下、更に昭和末期に起こった折からのバブル景気もあって北山通沿いには1980年代後半から90年代にかけて有名建築家のモダンで流行を感じる現代建築のほか、お洒落なファッションブティックやレストラン、カフェ、洋菓子店などの店舗も次々と出店し、バブル崩壊により急激な開発は収まったものの、現在も京都の伝統的景観の建築規制から解放された現代的かつファッショナブルな街並みで知られる洛北の高級住宅地の一つとなっています。
この北山通は東を起点とするとまず白川通との交差点「白川通北山」の交差点からスタートして西へ、まず修学院駅の北で高野川を渡ってから宝ヶ池の南、植物園の北を通って北山大橋で賀茂川を渡り、堀川通、大宮通を経て「紫野泉堂町」の三差路の交差点で南西方向へと進路を変え、最後は千本北大路交差点のやや北の佛教大学紫野キャンパス前にある千本通や今宮通、府道31号(鷹峯街道)が合流する五差路の交差点で終点を迎えます。
このうち注目ポイントとしては、まず賀茂川に架かる「北山大橋」の東の「京都府立植物園」側の河川敷には多くの桜が植えられ「半木の道」として人気の桜スポットとなっているほか、植物園北側は昭和30~40年の高度経済成長期に土地区画整理・基盤整備が進められ、中央分離帯と街路樹がある広い通りとなっており、植物園の木々とともに緑豊かな通りが形成され、散歩やランニングを楽しむ人も多く見られるエリアです。
また北山駅から松ヶ崎駅までの通りの南側には「京都府立植物園」のほか、安藤忠雄設計の「京都府立陶板名画の庭」や京都唯一の磯崎新設計の「京都コンサートホール」、京都に関する専門資料館である府立総合資料館の後継施設である「京都府立京都学・歴彩館」などの文化観光施設が数多く並び、その北側にはおしゃれなファッションビルやマンションなどが並ぶなど、まさに北山を代表する街並みが広がっているエリアになります。
このエリアで有名なのが、毎年10月末に京都府からの委託により北山街協同組合が運営している陶板名画の庭を会場に開催される「北山ハロウィン」で、はハロウィンイベントとしては歴史が古く1998年(平成10年)から開催され、京都でも一二を争う規模を誇り、北山駅周辺の北山通で行われる仮想パレードをメインにかぼちゃのカービングや仮装パーティー、手作り市、屋台村などなど楽しいイベントで毎年多くの人が訪れています。
また宝ヶ池通との交差点付近から高野川に架かる松ヶ崎橋の西詰までは、一筋北側の旧道沿いに旧松ヶ崎村の集落が東西に広がっていますが、この地域は京都の夏の風物詩の一つである「五山送り火」の送り火の一つである「妙法」の字が灯ることで知られているほか、麓には送り火を管理する日蓮宗寺院の「涌泉寺」や、松ヶ崎の大黒さんさんとして知られる「妙円寺(松ヶ崎大黒天)」などのスポットがあることでも知られています。
その他にも松ヶ崎駅付近の北山通は教会やウエディング施設などの洋風な建物が多く立ち並ぶことから「北山ウエディングストリート」とも通称され、とりわけクリスマスの時期には美しいイルミネーションが点灯され、多くのカップルや来場者が訪れる新たなスポットとして注目されています。