秋海棠とは?
ハート型の葉にピンク色の小花を日陰でひっそりと咲かせる姿が印象的
DATA
学名は「Begonia Grandis」、英名は「Hardy Begonia」。「瓔珞草(ヨウラクソウ)」の別名あり。
シュウカイドウ科シュウカイドウ属(ベゴニア属)の多年草球根植物。
夏から初秋の8月上~10月中旬にかけて、紅色の花茎を伸ばし茎先から2~3cmほどの小型の花を下垂して咲かせる、花の色は淡紅色(ピンク)または白色、黄色い球形の雄しべが花にアクセントを添え、地下に球根を持ち葉はハート型。
中国南部および東南アジア原産、中国大陸の山東省以南やマレー半島などに分布、日本では関東以西に自生。
高さは40cm、大きいものだと80cmぐらいまで成長。
名前の由来
漢名の「秋海棠」は秋にバラ科の海棠(カイドウ)に似た花を咲かせることからこの名がつけられたという。
和名の「シュウカイドウ」はその中国名「秋海棠」を音読みしたもの。
別名の「瓔珞草」は仏像の装飾具である飾り玉の「瓔珞」に例えたもの。
歴史
学名・英名のとおりベゴニアの一種で、江戸初期の寛永年間(1624-1644)に観賞用・園芸用として持ち込まれた(貝原益軒の「大和本草」に記録が残る)。
松尾芭蕉の「秋海棠 西瓜(すいか)の色に 咲きにけり」の句が有名。またハート形の葉の片方だけが大きくなる所から「片思い」の花言葉を持つ。
利用・用途
観賞用
各地で栽培されているほか、耐寒性が強く日陰でも育つため野生化し関東以西で自生している(帰化植物)。
その他
シュウ酸を含有し全草に殺菌作用があることから薬草としても用いられ、皮膚病やたむしの痒みに効果が期待できる。
また新鮮な葉や花をは食用にもなり、サラダなどに散らして食べられることも。
よく似た植物
近年同属の植物が「ベゴニア」として持ち込まれ園芸用に栽培されているが、基本的には同じ仲間。
ベゴニアは熱帯から亜熱帯にかけて分布する植物だが、シュウカイドウは耐寒性が強く日本の屋外で越冬できたため野生化している。