雲龍図(八方睨みの龍)

雲龍図とは?

「雲龍図(うんりゅうず)」とは、龍が雲の間を飛ぶ様子を描いたもので、禅宗寺院の法堂の天井によく描かれています。

龍は仏教を守護する八部衆の一つでもあり「龍神」とも呼ばれています。
そして龍神は水を司る神であることから、住職が仏法を大衆に説くお堂である法堂(はっとう)の天井に龍を描くことで法(仏法の教え)の雨を降らす、あるいは堂を火災から守るという意味が込められているといいます。

京都では臨済宗の各派本山の雲龍図が特によく知られており、いずれもが巨大なもので迫力満点。通常一般公開されていないものや、期間限定で公開されるものなどもあります。

京都の雲龍図スポット

スポット名 エリア 雲龍図名 ポイント
相国寺 相国寺 京都御所 狩野光信
「蟠龍図(ばんりゅうず)(鳴き龍)」
法堂天井、全長約9m
1605年(慶長10年)に豊臣秀頼の寄進により法堂が5度目の再建をされた際に描かれたもの
堂内の中央付近で手を叩くと天井に反響して「カラカラ」という音がするいわゆる「鳴き龍」として有名
法堂内部は通常非公開だが、方丈や開山堂(秋のみ)・浴室(春のみ)とともに春と秋の特別拝観の際に参拝することができる
建仁寺 建仁寺 祇園・東山 小泉淳作
「大双龍図」
法堂天井、108畳に及ぶ水墨画で、阿吽の双龍なのが特徴
2002年(平成14年)に建仁寺の開創800年を記念して奉納されたもので、通常拝観可能
方丈にも桃山時代を代表する絵師・海北友松の描いた襖絵の「雲龍図」(全50面の襖絵のうち8面)があり重文
こちらはオリジナルは現在は京都国立博物館に保管されており、現在方丈にはキャノンの技術による高精細なデジタル複製画が公開されている
南禅寺 南禅寺 岡崎・吉田・鹿ケ谷 今尾景年
「幡龍」
法堂天井
1893年(明治26年)の火災で焼失していた法堂が1909年(明治42年)に再建された際に描かれたもの
法堂内は通常拝観できないが、建物の外側から雲龍図を見ることは可能
天龍寺 天龍寺 嵐山・嵯峨野 加山又造
「雲龍図(八方睨みの龍)」
法堂天井、縦10.6m、横12.6mの天井の直径9mの円相内に墨色で描かれており、見る位置や角度により龍の表情や動きが変化するように見えるいわゆる「八方睨みの龍」なのが特徴
法堂は1864年(元治元年)の兵火で焼失後、明治期に江戸後期建立の雲居庵禅堂(選佛場)を移築
雲龍図は1899年(明治32年)移築の際に鈴木松年により描かれたものがあったが、損傷が激しく現在は一部保存され、毎年2月に大方丈にて一般公開されるのみ
現在のものは移築から約100年が経過した1997年(平成9年)に天龍寺の開山・夢窓国師650年遠諱記念事業として描かれたもの
土日祝および春夏秋の特別参拝期間は毎日公開されているが、行事等により参拝停止になる日もあり
また大方丈の襖絵にも若狭物外による雲龍図があり通常公開されている
妙心寺 妙心寺 衣笠・御室・花園・太秦 狩野探幽
「雲龍図(八方睨みの龍)」
法堂鏡天井、直径12mで天龍寺のものと同じく「八方睨みの龍」なのが特徴
法堂は江戸前期1656年(明暦2年)の建立、雲龍図は妙心寺の開山・関山慧玄の300年忌を記念して法堂が建造された際、探幽55歳の時に8年の年月を費やして描かれたもので重文にも指定
法堂内部は国宝の梵鐘、明智風呂などとともに通常公開されているほか、8月のお精霊迎えでは拝観料なく自由に見ることができる
東福寺 東福寺 東福寺・稲荷 堂本印象
「法堂天井画龍(蒼龍図)」
仏殿(本堂)天井、東西約22m、南北約11mの天井一面に描かれ、龍の延長が54m、胴回り6.2mあるという大作だが、わずか17日で完成させたという
仏殿(本堂)は1881年(明治14年)に焼失後、1934年(昭和9年)に再建されたもので、内部は通常非公開だが、雲龍図は建物の外から見ることが可能
また3月の涅槃会の際には涅槃図とともに雲龍図を建物の内部で拝観することができる
大徳寺 大徳寺 紫野・鷹ヶ峯 狩野探幽
「雲龍図(鳴き龍)」
法堂天井、ドーム状に円形になった天井部分に描かれ、地面の敷瓦の上で手を叩くと龍が鳴いたように音が響くいわゆる「鳴き龍」として知られる
法堂は1636年(寛永13年)の再建で重文、雲龍図は江戸初期を代表する絵師・狩野探幽が35歳の時に描いたものだという
内部は通常非公開だが、本坊や国宝の唐門とともに特別公開されることがある

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