京都市西京区大原野石作町、標高642mの小塩山の東南斜面の中腹に位置する天台宗の山岳寺院。
奈良時代の718年(養老2年)、元正天皇の勅願により隆豊が開祖となり創建。
728年(神亀5年)には聖武天皇より「金蔵寺」の額が下賜されています。
また794年(延暦13年)の桓武天皇による平安京遷都に際しては、都の平安を祈念して都の四方に経典を埋め王城鎮護とした場所の一つで、都の四方の岩「四岩倉(岩座)」のうち西方を守る寺院となったことから「西岩倉山」の寺号を賜りました。
その後「応仁の乱」で焼失しており、現在の建物は江戸時代に入った貞享年間(1684~88)に第5代将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院の寄進により再興されたもので、鎮守社の奥に桂昌院の塔も現存しています。
小塩山の中腹の斜面、石垣と朱塗りの山門から続く石段の間に本堂や護摩堂などの堂宇が建ち並んでおり、高さ約12mの産(さん)の滝や鳥帽子岩、影向松などの見どころも。
更には標高約350mに位置する見晴らし台からの眺めは絶景で、京都盆地・京都市内が一望することができるほか、遠くには平安京の鬼門を守るために建てられた延暦寺のある比叡山の姿を見ることもできます。
また金蔵寺の周辺は天然林が多く古くから自然が保持されてきた区域で、これに金蔵寺の本堂や仁王門などが一体となって歴史的風土が形成されていることから1987年(昭和62年)に「小塩山京都府歴史的自然環境保全地域」にも指定されています。
西山の登山ルートとしても知られているものの、普段はハイキング客が来る程度でひっそりした境内ですが、紅葉の隠れた名所として知られおり、見頃の時期には大勢の参拝者が訪れます。
山の中腹に位置し、朝夕の寒暖の差が大きいことから、色鮮やかな紅葉を楽しむことができ、とりわけ仁王門から本堂へ向かう石段の上にモミジのトンネル、その他にも本堂前広場や本堂の脇、開山堂周辺などでも目を奪われるほどに美しい紅葉を眺めることができます。
ただし標高642mの小塩山の中腹にあるため、アクセスしづらいのが難点で、車で行く場合は一部道幅が狭いので注意が必要です。
他方、徒歩であれば最寄のバス停である南春日町から、歩いて40~50分ほど山道を登ることになります。
南春日町から大原野神社や勝持寺へと向かう途中にある分岐から遊歩道が整備されていて、距離は2.7kmほどですが、残り1kmからは急な山道が続くため、お参りと言うより軽い登山となります。それでもその分到着した時の喜びと感動は車で近くまで来た時よりもより一層大きなものとなります。