春夏秋冬の鴉の襖絵とカラス説法で有名な綾部の花の寺
高野山真言宗。732年創建の古刹で名はサンスクリット語のシューランガマの音訳「首楞厳」に由来。
長井一禾筆の春夏秋冬の鴉の襖絵で有名で丹波のカラス寺の別名、予約するとカラス説法も聞ける。
関西花の寺二十五カ所第二番札所で桜、ミツバツツジ、ハスの名所。菩提樹、百日紅、椿は三古木として有名
楞厳寺(丹波のカラス寺)のみどころ (Point in Check)
京都府綾部市舘町楞厳寺にある高野山真言宗の寺院。
山号は塩岳山(えんがくさん)、本尊は薬師瑠璃光如来。
度重なる兵火による伽藍の焼失や時代の変遷に伴って多くの古文書などが散逸し、歴代住職の記録も失われており、創建の詳しい経緯は不明ですが、寺伝によれば奈良時代の聖武天皇の天平年間(729-48)(732年(天平4年)とも)に林聖により創建され、元々は「吉祥院」と称していたといいます。
その後、1337年(建武4年)の兵火によって広大な寺領を失うも、江戸中期の1703年(元禄16年)から1708年(宝永5年)にかけて本堂が再建されていて、寺では当時の住職・盛長法印を中興開山としています。
それから50年後の1758年(宝暦8年)に建築された庫裡には、カラスの絵で描き続けて大隅重信から「鴉博士」の称号を贈られた明治から昭和初期にかけての画家・長井一禾(ながいいっか 1869-1940)により描かれた四季の鴉の襖絵があり、拝観の予約をすれば絵の説明などの「カラス説法」を聞くくともでき、「丹波のカラス寺」の通称で呼ばれ有名となっています。
また四季折々の草花が咲き誇る「関西花の寺二十五カ所」の第2番札所としても有名で、とりわけ春の4月中旬頃に池を挟んで庫裏の対岸にある丘全体に咲き乱れるミツバツツジと、夏の7~8月にかけて境内の1万平方メートルの池を埋め尽くす20数種の蓮(ハス)が美しいことで有名です。
その他にも樹齢400~500年の椿(ツバキ)、菩提樹(ボダイジュ)、百日紅(サルスベリ)の三古木はいずれも「綾部の古木名木100選」に選ばれている名木です。
また寺には多くの寺宝が伝わっていますが、このうち重文・不動明王像一幅は1911~12年(明治44~45年)頃に紛失ていましたが、近年になってケルン東洋美術館に所蔵されていることが判明し、2017年(平成29年)に精密な複製画(レプリカ)が寺に掛けられることとなり「105年ぶりに帰還」と報道でも報じられて話題となりました。