京都市東山区下河原町、円山公園から高台寺へと続く石畳の道で、産寧坂重要伝統的建造物群保存地区の一区域。
北は円山公園から、高台寺の境内西側を通り南は維新の道と一念坂・二年坂・産寧坂へと続く分岐へと通じています。
1972年(昭和47年)に「京都市市街地景観条例」が制定されたのを受け、1976年(昭和51年)に産寧坂地区および祇園新橋地区が特別保全修景地区に指定され、特色ある歴史的な町並みの整備が進められていきました。
その後、1975年(昭和50年)の文化財保護法の改正によって「伝統的建造物群保存地区制度」が創設されたると、特別保全修景地区に指定されていた産寧坂・祇園新橋の両地区は合わせて「産寧坂伝統的建造物群保存地区」となり、更に1995年(平成7年)には地元から町並み保存の要望の強かった石塀小路地区も加えられました。
そしてこれらの動きと並行する形で1994年(平成6年)から重要伝統的建造物群保存地区において電線の地中化が始まり、1998年(平成10年)の工事完了の際には電線が姿を消したのみならず、市電の軌道に使われていたという2500枚の御影石が路面に敷き詰められ、石畳の道として新たに生まれ変わりました。
この点、現在「ねねの道」と呼ばれる道は近年まで「高台寺道(こうだいじみち)」として知られていましたが、この電線地中化工事を終えて石畳の道として生まれ変わった頃から「ねねの道」と呼ばれるようになったといい、名前の由来は天下人・豊臣秀吉の正室である北政所「ねね」が19年の余生を送ったというゆかりの寺である高台寺と圓徳院が道沿いにあることからだといいます。
自動車が何とか1台通れるくらいの道幅の京都らしい風情の石畳の道の両側にはいくつもの寺院や洒落た店が建ち並び、その他にも高台寺へと続く台所坂の入口、その向かい側にはショッピングを楽しめる京・洛市「ねね」、更にその先にはこれまた京都らしい風情の石畳の道として知られる石塀小路の北口もあり、一体となって風情ある町並みを形成しています。
そしてねねの道を抜けて東へ行けば坂本龍馬の墓がある京都霊山護国神社へと続く維新の道、そのまま南へ向かえば二年坂・産寧坂を経て清水寺へと続いていくという、まさに東山観光の中心といえる場所にある道で、道を行き交う観光客のための人力車の姿も数多く見ることができます。
行事としては毎年3月に開催される「京都・東山花灯路(ひがしやまはなとうろ)」において、周辺の寺社仏閣などとともに路地が行灯で照らされて幻想的なライトアップが楽しめるほか、南側にある高台寺公園に多くの桜があることから、毎年春にはねねの道の南の道沿いは美しい桜並木となり、より一層多くの観光客で賑わいます。