京都府京都市右京区西院春日町、阪急および嵐電の「西院駅」のすぐそば、四条通と西大路通の交差する「西大路四条」の交差点のやや西側に鎮座する神社で、西院の産土神として知られています。
平安初期の833年(天長10年)2月28日、淳和天皇が仁明天皇に皇位を譲り、退位に伴って離宮「淳和院」に移った際、その鎮守社として勅諚により奈良・春日大社の「春日大神」の4座を勧請したのがはじまり。
以来、皇室をはじめ藤原氏の守護神として、今もなお崇敬を集めています。
なお淳和院は別名を「西院」といい、この地域の地名の由来にもなっており、また付近では当時の淳和院の遺構が発掘され、規模の大きな離宮であったことが判明しているといいます。
平安時代より「病気平癒」のご利益で知られ、特に淳和天皇の皇女・崇子内親王が疱瘡(ほうそう)を患った際に祈願したところ、神前の石が内親王の身代りとなって回復した伝説は有名で、江戸期にも歴代天皇が健康祈願をしたといいます。
ちなみにその石は現在も霊石「疱瘡石」として諸病平癒を祈る多くの人々に信仰され、毎月1日・11日・15日にのみ本殿内で公開されています。
また境内にある摂社「還来神社(もどろきじんじゃ)」に祀られている還来大神は、古くより「旅行安全」の神として知られ、「還来信仰」として崇敬する人が後を絶たないといい、神前の「梛石」は旅行者が撫でると無事に帰って来れるといわれている還来成就の神石として知られています。
祈願・御礼には「わらじ奉納」の慣わしがあり、先の大戦中には出征兵士の無事帰還を願う家族も多数訪れたといいます。
他にも「梛(なぎ)の神木」には災難除け(厄除け)・夫婦和合のご利益、「仁孝天皇御胞衣塚(おえなづか)」は安産・子授け・乳幼児守護と、様々なご利益が頂ける神社として知られています。
毎年秋の10月第2土日はに無病息災・五穀豊穣を感謝する「春日祭」を開催。
日曜日には重さ2トンの東組と西組の2基の御輿(みこし)が出御し、市の無形民俗文化財にも指定されている5基の剣鉾や鼓笛隊、祭に華を添える可愛らしい八乙女さんなどとともに総勢1000名が氏子町内を巡行するほか、露店も出て大いに賑わいます。