京都市上京区出町柳、賀茂川と高野川が合流して鴨川となる地点である「鴨川デルタ」の西側、河原町今出川交差点を北へ上がった西側にある商店街。
付近一帯の店舗で構成される出町商店街のうち、河原町通から寺町通までの東西に伸びる全長164mの桝形通(桝形アーケード街)にある店舗で構成されています。
商店街の東、賀茂川に架かる出町橋付近は、かつて京都から八瀬、大原を経て福井県の小浜へと通じる「若狭街道」の終点だった場所で、古くから交通の要衝として栄えるとともに、中世には若狭からたくさんの海産物や人が集まることから、市場が設けられて大いに賑わったといいます。
そしてとりわけ若狭からは多くの鯖が運び込まれたことから、街道は「鯖街道」と呼ばれました。
明治・大正期には市電が通り、さらには叡山電車も開通するなど交通の要所としてますます人を集めるようになり、現在の商店街のあたりには大正期になると徐々に商店ができ始め、戦後現在のような商店街の形となったといいます。
1974年(昭和49年)にはアーケードの建設が決まり、その建設および維持管理を目的として、1977年(昭和52年)4月25日に「桝形事業協同組合」が設立されました。
現在では生鮮食料品などの食料品や衣料品、雑貨を中心に44店舗が営業しており、周辺地域の台所として親しまれています。
そして饅頭屋の「おた福屋」や大正時代から三代続くという線香、ローソクなどの仏具を販売する「高橋盛香堂」、寿司と麺類の「満寿形屋」など、昔ながらの店も多いのが特徴です。
地域密着型の商店街として地域との交流に力を入れていることでも知られ、多くの団体と連携を取りながら商店街を盛り上げるためにさまざまな取り組みがなされているといい、地域の学生や団体も出店・参加する「七夕夜店」や「大根だき」などのイベントも開催され多くの人で賑わいます。
また毎年5月18日の上御霊神社の例祭「御霊祭」では、桝形アーケードを3基の巨大な神輿が勇壮に通り抜け、祭の見どころの一つとなっています。
近年はアニメの聖地にとして知られるようになり、2008年(平成20年)12月に造られたアーケードから吊られた鯖のモニュメントは公募により「わかさばちゃん」と名付けられ、商店街のシンボル的存在となっています。
周辺は東に鴨川や京都大学、北に世界遺産の下鴨神社、西に同志社大学、そして南は京都御所に囲まれおり、京阪電車の出町柳駅からもほど近く、近隣府県からのアクセスも抜群なほか、出町柳駅が貴船・鞍馬への足がかりとなる叡山電車のターミナル駅にもなっていることから、観光する際にもとても便利な商店街です。