京都府八幡市八幡平ノ山および八幡市八幡高坊、石清水八幡宮の鎮座する男山の麓にある京阪石清水八幡宮駅と本殿のある男山山上とを結ぶ石清水八幡宮参道ケーブルの駅。
石清水八幡宮参拝者の利便性向上のため1926年(大正15年)6月22日に男山索道の「男山駅」と「八幡口駅」の区間で開業したのがはじまりで、太平洋戦争の激化に伴い終戦直前の1944年(昭和19年)に男山鉄道が金属などの資材供出のため路線が廃止されたのを受けていったんは姿を消しますが、1955年(昭和30年)12月3日に京阪電気鉄道が鋼索線として営業運転を復活させ「男山駅」と「八幡宮駅」の区間で改めて開業されました。
その後、1957年(昭和32年)には男山駅は京阪本線と同じ「八幡町駅」に統合、また八幡宮駅は「男山山上駅」に名称変更され、その後1977年(昭和52年)11月1日に八幡市の市制施行を受けて八幡町駅は「八幡市駅」と改められ、以後は鋼索線は「男山ケーブル」の愛称で親しまれることとなり、2001年(平成13年)7月には車両および巻上装置が大規模リニューアルされています。
2016年(平成28年)に石清水八幡宮の本殿などが国宝に指定されたのを機にその最寄り駅であることから、八幡宮との一体感を更に強めることで認知度を上げ、観光地をイメージしやすい名称に変更されることとなり、ケーブルの制御機器の更新や令和への改元に合わせる形で実施が決定。
2019年(令和元年)10月1日に京阪本線の八幡市駅が「石清水八幡宮駅」と改められたのに合わせて京阪鋼索線の駅舎のリニューアル工事も行われ、同時に鋼索線「石清水八幡宮参道ケーブル」に、八幡市駅は「ケーブル八幡宮口駅」に、そして男山山上駅は「ケーブル八幡宮山上駅」と改称されました。
そしてこの際に合わせて車両のデザインも一新されることとなり、以前は京阪の特急カラーである赤・黄の組み合わせでしたが、八幡宮の社殿を彩る朱色と金色、および京阪特急の赤・黄の組み合わせをモチーフに、2両が神聖さを漂わせる赤と黄色に生まれ変わり、「陽(ひ)の遣い」と「月の遣い」をデザインコンセプトに片方が昇ると片方が下るケーブルカーを太陽と月に見立て、それぞれ陽(赤)の「あかね号」と月(黄)の「こがね号」と命名されています。
そして外観はメタリックフィルムのラッピングで「ひかりの情緒感と神聖さ」が表現され、側面の模様や座席表地にも男山の神秘感と歴史の積層、車両が上昇する感じをイメージしたというオリジナルの霞文様が採用されているといい、更に石清水八幡宮を象徴する2つの要素、すなわち神の使いとされる「阿吽の鳩」と御神紋である「流れ左三つ巴」をモチーフとしたシンボルマークも制定・配置されているといいます。
櫛形2面1線ホームの駅で、改札口はそれぞれに1か所設けられており、徒歩なら約20分かかる男山の麓にある「ケーブル八幡宮口駅」と山上にある「ケーブル八幡宮山上駅」とを片道約2分半で結び、主に石清水八幡宮の参拝客を運んでいるケーブルカーで、15~30分間隔で運転され、毎年大晦日には終夜運転され初詣には多くの参拝客が利用するほか、1978年(昭和53年)には当時の皇太子夫妻(平成天皇および皇后)が乗車した記録も残るといいます。
桜と紅葉の名所でもある男山に架かる鉄橋は高さ日本一だといい、山岳トンネルも1か所あり、ケーブルから見下ろす景色は圧巻の一言で、更に山上の展望台は北側の京都市街に向けて設置されており、対岸の天王山と桂川・宇治川・木津川の三川合流の地にある桜の名所・淀川河川公園背割堤地区の桜並木などの眺望を一望することもでき、八幡宮への参拝に合わせて美しい景色を楽しむこともできるようになっています。