世界遺産・御室仁和寺の玄関口
嵐電の愛称で親しまれる京福電鉄の北野線の駅。2007年3月までは「御室」という駅名だった。
名前のとおり駅周辺には世界遺産の御室仁和寺があり、駅前から仁和寺の仁王門を見ることができる
嵐電御室仁和寺駅のみどころ (Point in Check)
京都市右京区御室小松野町、京都市北西の金閣寺前から龍安寺、仁和寺と3つの世界遺産の門前を経て国道162号(周山街道)と交わる福王子交差点まで続く「きぬかけの路」の途中、仁和寺の門前のすぐ南にある京福電気鉄道(嵐電)の北野線の駅。
1925年(大正14年)11月3日、電力会社・京都電燈が経営する嵐山電鉄の北野線が北野駅~高雄口(現在の宇多野駅)の間で開業した際に「御室駅」として設置されたのがはじまり。
その後1942年(昭和17年)3月に戦時統制によって京都電燈が解散されるのを受け、同社の京都および福井での鉄道事業を分離・引き継ぐために「京福電気鉄道(嵐電)」が設立され、嵐山線・北野線・叡山線の路線継承によって京福電気鉄道の駅となり、更に2007年(平成19年)3月19日に「御室仁和寺駅」と改称されて現在に至っています。
相対式2面2線ホームを持つ地上駅で、仁和寺のある駅の北側の北野白梅町駅方面行きホームにある駅舎が特徴的な駅で、南側の帷子ノ辻方面ホームとは踏切を渡って行き来する形となります。
現在は通常は無人駅であり使用されていませんが、駅舎には改札口や待合所も設置されているため、無人駅ながらも広々とゆったりしたスペースのある駅となっていて(仁和寺のさくらまつりの時期など特に混雑が予想される場合は集札業務を行うこともあるという)、和風の木造駅舎の正面には「驛室御」と旧字体・右横書きの旧駅名の額が掲げられるなど、古き良き日本の風景を感じることができ、2002年(平成14年)の第3回「近畿の駅百選」にも認定されています。
その名のとおり平安中期の888年(仁和4年)に宇多天皇によって創建され、創建当時の元号である「仁和(にんな)」から命名された世界遺産「仁和寺(にんなじ)」の最寄駅であり、改札口越しに駅前から北へ伸びる道の向こう側に仁和寺の山門である「二王門」を目にすることができます。
そして「御室(おむろ)」とはその第59代・宇多天皇(うだてんのう 867-931)が、第60代・醍醐天皇に譲位するとともに出家し法皇となった後、904(延喜4年)に仁和寺内に御室と呼ばれる自らの居所を営んだことから、その建物が「御室御所」と呼ばれて仁和寺の別名となるとともに、一帯の地名としても親しまれるようになったといい、余談ですが世界的に有名な電気機器メーカーのオムロンはこの地で創業し、社名の由来にもなっているといいます。