木槿とは?
芙蓉の仲間で散ってはまた咲く生命力の強さから韓国では国花に
DATA
学名は「Hibiscus Syriacus」、英名は「Rose of Sharon」あるいは「Althea」。
アオイ科フヨウ属(ハイビスカス属)の落葉低木。
6月下~10月中旬にかけ5~10cmほどの大輪の花を咲かせる、花びらは5枚、花の色は紅紫や白色、ピンクや花の中心が紅いもの(千宗旦が好んだことから「宗丹木槿(そうたんむくげ)」と呼ばれる)などがある。
早朝に咲き夕方にしぼむ一日花だが、夏の間次から次へとずっと花を咲かせ続ける(このことからうたたかの栄華をムクゲに例え「槿花(きんか)一朝の夢」と表現する場合もある)。
中国およびインド原産、シリアからインドや東南アジアまで自生、日本には朝鮮半島を経由して平安時代に渡来し、北海道南部から沖縄までほぼ日本全国に分布。
高さは2~4m。
名前の由来
中国名の「木槿(モクキン)」、韓国では散ってはまた咲く生命力の強さから「無窮花(ムグンファ)」と呼ばれ、韓国人の歴史と国民性を表すとして愛され国花にもなっている。
名前の由来は漢字名は中国名の「木槿(モクキン)」から。
「ムクゲ」は中国名の「モクキン」が転訛したとする説、韓国名の「ムグンファ」が転訛したとする説など諸説あり。
別名の「ハチス(キハチス)」は花の咲き方がハスに似ていることによる。
歴史
日本では平安時代の「和名抄」に木槿の和名「木波知春(きはちす)」の名でその名が初めて登場する。
江戸時代に多くの園芸品種が開発され、基本の一重のほか、半八重や八重の品種も生まれた。
利用・用途
観賞用
刈り込みに耐え成長も速く、乾燥に強く荒れ地にも耐え土地を選ばないため、観賞用として庭木や鉢植え、生垣などに広く植栽、また夏の茶花として生け花にも欠かせない。
薬用
樹皮を乾燥したものは「木槿皮(もくきんぴ)」という生薬に、抗菌作用があり水虫など皮膚炎の薬として配合される。
花の蕾を乾燥したものは「木槿花(もくきんか)」という生薬に、胃腸炎や下痢止めの薬として配合される。
その他
韓国では飲食用として若葉を食したり葉をお茶として飲んだりされている。
皮は強い繊維を持つことから、製紙原料となる。
フヨウとムクゲの違い
同じアオイ科フヨウ属の樹木で、一日花で花の咲く時期や姿形も似ているため間違えやすい。
「樹形」
フヨウは多く枝分かれして横にもこんもりと広がる。
ムクゲは枝を真っ直ぐ上に伸ばし、縦長のすらっと直立した形。
「花期」
フヨウは8月から10月にかけて、ムクゲは梅雨の時期の6月下旬から10月中旬とやや早い。
「葉や花」
フヨウの方が大きい(花は品種により若干差異あり)。
またフヨウは手のひら状で多角形をしているのに対し、ムクゲは細長い。
「めしべの形状」
フヨウは5本に分かれ先端が曲がっている。
ムクゲは真っ直ぐ。
よく似た植物
「スイフヨウ(酔芙蓉)」
学名は「Hibiscus Mutabilis cv. Versicolor」。
咲き始めは白色で、時間とともにピンク色に変化する八重咲きの変種。
名前の由来は花の色が変わる様を酒に酔って顔が赤くなることに例えた。
「アメリカフヨウ(クサフヨウ)(草芙蓉)」
学名は「Hibiscus Moscheutos」、英名は「Rose Mallow」。
7~9月頃に直径20cmにもなる大きな花をつける、葉は卵状楕円形。
米国アラバマ州の原産で多数の種の交配種からなる園芸品種。
高さは1~2mぐらいまで成長する大型の多年草(木ではない)
「ハイビスカス(ブッソウゲ(仏桑花))」
学名は「Hibiscus Rosa-Sinensis」、英名は「Chinese Hibiscus」。
アオイ科フヨウ属。
6月上~9月頃に花を咲かせ、花の色はピンク、赤、オレンジ、黄、白と様々、雄しべが柱頭の先端につき色づく、また花びらの中心が濃い赤やピンク色。
アジア南部からハワイが原産、温暖な南部のみ生息し沖縄では当たり前のように見られる。それ以外の場所では温室で育てられる。
日本の本土へは慶長年間の1610年頃に薩摩藩から琉球産のブッソウゲを徳川家康に献上した記録が最初。
高さは50cm~3mぐらいまで成長する。
「タチアオイ(立葵)」
学名は「Althaea Rosea」、英名は「Hollyhock」。
京都三大祭の一つである葵祭や徳川家の家紋として知られる「双葉葵(ふたばあおい)」とは全く別の品種。
アオイ科ビロードアオイ属の多年草植物。
6~8月と他の似た品種の中では最も早い時期に咲く、花の色は赤、ピンク、白、紫、黄色と様々、花びらの中心部分が淡い緑色。
茎の下の方に葉が付き、草なので茎が緑色をしているのが特徴。
地中海沿岸と考えがれている、日本には古くから薬用として渡来。
高さは1~3mぐらいまで成長する大型の多年草。