丈六仏の阿弥陀・丹後大仏で有名な別名「本堂さん」
真言宗御室派。愛宕山の麓、西舞鶴駅前通を西へ直進した突き当たりにあり本堂さんの別名。
奈良時代行基創建と伝わる古刹で本尊は丹後大仏と呼ばれる丈六仏の阿弥陀と薬師・釈迦如来の三尊像で重文。
本堂・多宝塔など5つの堂宇が府文化財、うち総門は三つ棟造りで脇間の前後に四天王像を置く珍しい形式
円隆寺のみどころ (Point in Check)
京都府舞鶴市の中央部、西側より西舞鶴の市街地を見下ろす愛宕山の東麓にある真言宗御室派の寺院。
西舞鶴駅から西へまっすぐ進んだ先にあり、通称「本堂さん」と呼ばれています。
創建は不詳ですが、「慈恵山記」によると奈良時代に行基が開創、その後、平安中期の長徳年間(995-99)に皇慶の中興と伝わっています。
中世に入ると領主である田辺氏から庇護されて寺運が隆盛し、最盛期には広大な境内に70余の院坊塔頭が軒を連ねていたといいいますが、1595年(文禄4年)8月に大雨による山崩れのため境内の堂宇の大半を失い、坊も智恩院、成就院、理正院、吉祥院の4坊となるなど衰微を余儀なくされました。
その後江戸時代に入り、田辺藩藩主・牧野家の庇護を受けて栄えますが、1659年(万治2年)と1732年(享保17年)に火災に遭い、残された3坊も類焼。
現存する建物はその後再建されたものですが、本堂、多宝塔、鐘楼、総門、鎮守堂が京都府指定文化財に指定されており、このうち総門は「三つ棟造り」で、脇間の前後に四天王像を安置するという珍しい形式の門です。
また貴重な仏像を数多く所蔵していることでも知られており、本尊の阿弥陀如来・薬師如来・釈迦如来の三尊像のほか、不動明王立像と毘沙門天立像が国指定重要文化財に指定されており、このうち阿弥陀如来は像高227cm、左脇侍の薬師如来は156cm、そして右脇侍の釈迦如来は153cmの木造坐像で、いずれも平安から鎌倉期の作。丹後地方最大の丈六仏で、ふくよかな体つきに柔らかな衣を纏い、穏やかな表情を湛える定朝式を代表する美しい仏像です。
四季を通じて花が美しく「関西花の寺」の第3番札所にも指定されているほか、境内から愛宕山頂へ散策することもできます。