京都府亀岡市古世町西内坪地内、JR亀岡駅の南口から歩いてすぐの所にある都市公園。
かつてこの地には戦国武将・明智光秀が築いた「丹波亀山城」がありましたが、山陰街道が通過し城下町の広がる城の本丸南側は内堀、外堀、惣堀の三重の堀と御土居がめぐらされて堅牢な構えである一方、公園の立地する本丸北側の搦手については外堀が一重にめぐらされているだけとなっており、これは有事の際には保津川の流れを塞き止めれば、北側の水田が一気に大きな堀となるように考案されているためだといいます。
南郷公園はこの城の北側の外堀の跡である「南郷池」を中心として整備された公園で、1969年(昭和44年)の「亀岡市都市公園条例」の制定に伴って公園として設置され、現在は公益財団法人・亀岡市都市緑花協会によって管理されています。
外堀跡として石垣も残されているなど城の面影が最もよく残されていて、池の周りには木製のデッキ「ボードウォーク」が設置されるとともに、堀に沿って桜並木が植栽されていて、春の桜をはじめ四季折々の草花を楽しめる散歩コースとして市民からも親しまれています。
また南郷池にはギンヤンマやシオカラトンボ、アキアカネをはじめ約40種類のトンボが生息する貴重な生息地にもなっており、豊かな亀岡の自然を垣間見ることができます。
その他にも各種のイベントが繰り広げられる都市空間としても利用されており、中でも4月の桜の時期の「京都・亀岡さくらまつり」や5月のGWに開催される「亀岡光秀まつり」には大勢の見物客が詰めかけ、屋台なども出て大いに賑わいます。
この点、公園の入口入ってすぐの広場には丹波亀山城の天守閣にあったという「鯱瓦」のレプリカ(複製)が置かれ、城跡を示す石碑が立てられていますが、同広場はこの鯱瓦から通称「シャチホコ広場」と呼ばれて市民から親しまれていましたが、明智光秀を主人公とする2020年(令和2年)の大河ドラマ「麒麟がくる」の制作が決定したことを受け、2019年(令和元年)5月3日にはふるさと納税制度を活用して募った寄付を使って「明智光秀公像」が建立され、新しい公園のシンボルとなるとともに、広場の名前も「光秀広場」と命名されています。
また一説によれば亀岡市のマスコットキャラクターの「明智かめまる」はこの地に住んでいるとも言われていて、各種イベントなどにも頻繁に顔を見せ、愛嬌を振りまいています。