京都府長岡京市浄土谷、府道79号線(楊谷道)を登った先の山奥に位置する西山浄土宗総本山光明寺の末寺。
善峯寺、光明寺とともに西山三山の一つで、これらの3か寺を結ぶ道「西山古道」にある寺院です。
観音信仰で知られ「柳谷観音」の名で親しまれているほか、「眼の観音様」とも呼ばれ、眼病平癒のご利益がある霊水「独鈷水(おこうずい)」は弘法大師ゆかりであるほか、奥の院に眼力稲荷も祀られています。
寺伝では清水寺の開祖として知られる延鎮が平安初期の806年に開山したと伝わり、夢告によりこの地で十一面千手千眼観世音菩薩像を感得し、堂を建て安置したのがはじまりとされていて「西の清水寺」とも呼ばれる所以です。
延鎮が清水寺に帰った後は空海が度々ここで修行に訪れており、その際に親猿が子猿のつぶれた目をここの湧き水で洗っていたのを見た空海が17日間猿のために祈祷した結果、猿の目が治ったとされ、さらに17日間祈祷をしたことにより湧き水は眼病治療の効能をもつ霊水となり、眼病に効く「独鈷水(おこうずい)」として広まったと伝わります。
そして江戸時代には眼病治療に訪れた第112代・霊元天皇の眼の病が治ったことから、眼病のご利益が世間にも広まり、明治時代まで天皇家に独鈷水を献上していたといいます。
「新西国三十三箇所」の第十七番札所であるほか「洛西観音霊場」の第10番札所にもなっており、とりわけ本尊・十一面千手眼観音が拝観可となり、縁日も開かれる毎月17日は多くの参拝客で賑わいます。
山の斜面に沿って造られた伽藍は本堂と奥ノ院が美しい庭園のある長い回廊で結ばており、庭園は府指定の名勝に指定されているほか、1997年(平成9年)6月には「あじさいのみち」も整備され、近年は庭園があじさいの名所としても有名となりました。
「楊谷寺あじさいのみち」を中心に西洋アジサイや日本アジサイが約4,500本植えられていて、見頃は6月中~7月上頃で、6月最終土日には「あじさい祭」も開催されます。
この他にも11月中旬から12月上旬にかけては、カエデやモミジなどの木々が鮮やかに色付くことで知られ、隠れた紅葉スポットとしてこちらも近年人気を集めています。