京都市南西部に隣接する京都府向日市にある「激辛」を掲げて向日市の町おこしを図る仮想商店街。
「京都向日市激辛商店街」とも呼ばれています。
西日本で一番小さな市でもある向日市のある乙訓地区は、西国街道を中心に古くから栄えた宿場町であるほか、古くから西山山系の恵みを受けた良質な竹や筍(たけのこ)の里として知られている地域です。
このため、商店街発足以前には特産品のタケノコを利用した町おこしが試みられたといいますがが、大きな成功は収められず、全国的にはほとんど知名度がありませんでした。
また交通が便利であることが災いして地元客が京都市や大阪市に流出、地元の飲食店などは集客に苦労していたといいます。
そんな町を活気づけようと、「インパクトがあり、元気の出る食」のイメージから、2009年(平成21年)7月9日、「辛いけど旨い」食べ物にこだわった「激辛商店街」を発足させ、激辛メニューによる町おこしが図られることとなります。
それまで向日市と「激辛」には特に縁があった訳ではなく、ゼロからの町おこしだったといいますが、その熱意が徐々に町全体に広がり、向日市を訪れる年間観光客数は、2008年に3000人だったものが、商店街発足の2009年に6万人に急増。
更に2013年には19万4000人にまで達し、今では「激辛」のメッカとして日本全国から人が集まる町へと成長し、町おこしに成功した事例として、経済産業省が地域の活性化に貢献してきた商店街を表彰する「はばたく商店街30選」にも選定されています。
入会条件は、設立趣旨に賛同することならびに「激辛メニューを提供すること」。
この点、カレーやラーメン等「定番」の品目のみならず、和菓子や洋菓子などの店舗も加盟しているほか、食品に限らず染み抜きをテーマにしたクリーニング店やトウガラシを販売する種苗店なども参加し、サービスを提供しています。
ちなみに「商店街」と称しているものの、1つのエリアに店舗が並び商店街を形成している訳ではなく、向日市を中心とした複数のエリアに店舗がまたがるいわゆる「仮想商店街」で、京都激辛商店街に入会した店舗の総称を「京都激辛商店街」と呼んでいます。
当初は阪急の東向日~西向日駅およびJRの向日町駅周辺にある飲食店を中心に約20店舗で発足しましたが、加盟店は順調に増加しており、2014年4月現在で36店舗。
更に近年オープンしたイオンモール京都桂川の店舗も参加するなど、幅広いエリアに規模を拡大しています。
年間を通して各種イベントを行っており、中でも2012年(平成24年)3月18日にスタートした『「辛い!」だけじゃない、「旨い!」だけでは物足りない!』のキャッチフレーズを掲げ、「辛くて旨い=辛旨(からうま)」ナンバーワンを決める激辛グルメ決定戦「KARA-1グランプリ」はマスコミやテレビでも取材や特集が組まれるなど毎年注目を集めており、市外からも多くの来場者を集める人気イベントとして定着しつつあります。
その他にも様々な会社とのコラボ、タイアップなども企画されていて、「世界一辛い唐辛子」と称されるブート・ジョロキアの生産や、大手コンビニエンスストアとのコラボ商品の開発、2014年には山崎製パンとタイアップし、ランチパックシリーズに期間限定商品が発売されるなどし話題を集めました。
これらのイベントを盛り上げる存在として欠かせないのが商店街のマスコットキャラクターとして誕生したトウガラシをモチーフにした「からっキー(Kalucky)」で、各種イベントにも姿を見せ子供たちからも大人気の存在です。
またからっキー以外にも、辛いものが苦手な人でも食べられるようにしたメニュー「ゆる辛丼」にちなんだマスコットキャラクターとして「ゆるからっキー」もいて、同じく人気の存在となっています。