京都市北区衣笠赤阪町、世界遺産・金閣寺および五山の送り火の左大文字の北西の不思議之谷、お狐山の山麓一帯に境内を有する真言宗系の単立寺院。
正式には「大北山 大宝寺 不思議不動院」といいますが、本尊・不動明王を参拝した人たちから不思議なご利益を授かったと評判になったことから「不思議不動院」の通称で呼ばれるようになり、地元の方からは「不思議之谷の不思議さん」の愛称で親しまれているといいます。
創建は比較的新しく昭和に入ってからで、戦後まもない1945年(昭和20年)頃、初代の女性住職・酒井圓心が不動明王の夢を見て「難渋苦労している人々を救済せよ」とのお告げを得て、苦労をしている人々を救済するため当時はまだ何もなかった未開の地を開いて堂を建て、持参した不動明王を祀ったのがはじまりとされています。
境内には、不思議不動明王を祀る本堂(護摩堂)のほか、本堂の前の骨の病気に霊験あらたかといわれる「天将不動尊」や商売繁盛や学業成就にご利益のある「天龍神大神」、眼病平癒にご利益のある一光開眼地蔵菩薩、子授け地蔵など、様々な祠やお堂が立ち並び、根強く信仰する人も多いといいます。
毎年12月の冬至の日に、無病息災を願って行われる「かぼちゃ供養」で有名。
昔から一年で昼の時間が最も短くなる冬至の日に「ん」の文字が2つつく食べ物を食べると風邪を引かないという言い伝えがあり、かぼちゃは別名「南京(なんきん)」といい、中風除けやぼけ封じにもご利益があるといい、京都では有名な矢田寺のものなど冬至にかぼちゃを食べる習慣があるといいます。
不思議不動院では、初代・酒井圓心が弘法大師像に不眠、断食、お滝にうたれるなどし、行を終えた毎年12月冬至の日にその満願成就のお礼にとかぼちゃを供え、その「お下がり」を参拝者と分け合って食べたのがはじまりとされていて、当日は大師堂から本堂へと移された「かぼちゃ大師様」という弘法大師様の木像の前にかぼちゃを供えて供養が行われるほか、約50個、約500人分、200kgともいわれるかぼちゃが早朝から信者たちによって大鍋で炊かれて参拝者に振舞われます。