紫式部(ムラサキシキブ)(Japanese Beautyberry)

紫式部(ムラサキシキブ)

紫式部とは?

「源氏物語」の作者にちなんで命名、光沢のある紫色の果実が美しい

DATA

学名は「Callicarpa Japonica」、英名は「Japanese Beautyberry」。「実紫(みむらさき)」「玉紫(たまむらさき)」「紫重実(むらさきしきみ)」「小紫(こむらさき)」などの別名あり。
クマツヅラ(熊葛)科ムラサキシキブ属の落葉低木。
6~7月にかけて葉の付け根に淡紫色の小花を数多く咲かせるが、観賞用として知られているのは熟した果実。
9~10月に3mmほどの丸く小さな実を葉の付け根付近にまとめてつける、色は果実には珍しい紫色で光沢があり美しい(観賞用のものには白い実をつける品種も)。
日本および中国・台湾・朝鮮半島などの東アジアに分布、日本では北海道南部から九州、沖縄まで広く見られる。
高さは2mほど、環境が良ければ3mぐらいまでに成長する。

名前の由来

名前の由来は平安時代に「源氏物語」を書いたことで知られる女性作家・紫式部から。
元々は美しい紫色の果実を重なるほど多く実らせる所から「ムラサキシキミ(紫重実)」と呼ばれていたものが「紫式部」に転訛したといわれている。
学名の「Callicarpa」はギリシャ語で「美しい果実」という意味。また中国では「日本紫珠」と呼ばれる。

歴史

「万葉集」には登場せず、「源氏物語」にも登場しない。江戸時代の1684年(貞享元年)に出された立華正道集(りっかしょうどうしゅう)」や「抛入花伝書(なげいればなでんしょ)」に「実紫(みむらさき)」が登場し、後者では「植木売は紫式部といふ」と販売促進のためにその名がつけられたと窺わせる記述がある。

また1709年(宝永7年)に儒学者で本草学者としても知られる貝原益軒が編纂した「大和本草(やまとほんそう)」には「玉紫(たまむらさき)」や「紫重実(むらさきしきみ)」「小紫(こむらさき)」の名前が挙がっている。

利用・用途

観賞用

日本各地の山林などに自生、紫色の果実が美しく趣があることから観賞用として庭木や鉢植えで栽培、また切り花などでも親しまれている。

その他

果実は美しく鳥は好んで食するが、食用にはされない。また硬い幹は器具の柄や箸、杖などの材料として利用されている。

また生の葉をすり潰したものは薬草になり、水虫などの寄生性皮膚病の患部に塗ると効果が期待できるという。

よく似た植物

ムラサキシキブは変種が多くあり、代表的なものとしては大型のオオムラサキシキブと白い果実をつけるシロシキブがある。
またムラサキシキブとは別種なものの同じように紫色の果実をつける仲間の植物としてコムラサキや、ヤブムラサキがある。

「オオムラサキシキブ(大紫式部)」

分類上はムラサキシキブの変種、基本種であるムラサキシキブに比べて実が大きいのが特徴。

「シロシキブ(白式部)」

分類上はムラサキシキブの変種で、白い果実をつけるのが特徴。
樹高は1~3mで、花は6~8月、果実は9~12月頃が見頃。

「コムラサキ(小紫)」

学名は「Callicarpa dichotoma」、英名は「Chinese Beautyberry」。
高さ約1.5mとムラサキシキブに比べて全体に小型だが、枝を弓状に枝垂らせ果実の数を密に多くつけて美しいため、庭木ではコムラサキを指してムラサキシキブと呼ぶことも多い(ムラサキシキブは枝が直立し果実の付き方もまばら)。
変種として白実をつけるシラタマコシキブがあり、こちらも広く栽培されている。

「ヤブムラサキ(藪紫)」

学名は「Callicarpa Mollis」。
の表裏に毛が多く触るとビロードのような手触りがあるのが特徴。また花や果実は枝の下側につくため、葉の裏に隠れてやや目立ちにくい。

京都の紫式部スポット

寺社名 エリア ポイント
渉成園(枳殻邸) 渉成園
(枳殻邸)
京都駅 境内の東南を占める印月池の池畔、閬風亭の正面
平野神社 平野神社 北野・西陣 10月上~下旬、桜苑内に紫と白色の紫式部が1500株
10月第1日曜日には「紫式部祭」も開催され、速水流献茶式や舞楽の奉納が行われる
紫式部・小野篁墓所 紫式部・小野篁墓所 北野・西陣 堀川通北大路下ル、島津製作所紫野工場そば
入口の右手「紫式部墓所」の碑のそばに植えられている
NO IMAGE 正覚寺 嵐山・嵯峨野 嵯峨野々宮町、コムラサキとシロシキブの名所として有名
参道から山門にかけたくさんの紫色や白色の実が生い茂る
実光院 実光院 大原・八瀬・比叡山 外庭の池畔にコムラサキ

TOPへ