京都市右京区梅ヶ畑宮ノ口町、福王子の交差点から国道162号線(周山街道)を北の高雄方面へ約2kmあまり進んだ先にある応神天皇を祭神とする八幡宮の一社。
「梅ヶ畑八幡宮(うめがはたはちまんぐう)」とも呼ばれ、神護寺の守護神であるとともに梅ヶ畑一帯の産土神としても信仰されている神社です。
創建は平安初期の809年(大同4年)、弘法大師空海が高雄山神護寺の鎮守社として、大分県の宇佐八幡宮から勧請したのがはじまりで、弘法大師自ら描いた僧形八幡神像を御神体とする山城国最古の八幡宮です。
平安末期に一時期荒廃するも、神護寺を復興した文覚によって1190年(建久元年)に再興され、その後、室町時代の1407年(応永14年)11月8日の火災により焼失した際には、室町幕府第3代将軍・足利義満によって直ちに社殿が再建されました。
ちなみに足利家では義満のほか、室町幕府を創建した初代・足利尊氏や、8代・義政の子・義持らが、しばしば参詣や紅葉狩りに、この地を訪れたと伝えられています。
現在の本殿は江戸末期の1826年(文政9年)に仁孝天皇の命を受けて社殿が修復された時のもので、大工は上嵯峨の宗兵衛と室町の中川常右衛門藤原忠寛。京都市内に現存する数少ない切妻造本殿の一つで、平成12年に京都市の有形文化財に指定されています。
またこれと時を同じくして1827年(文政10年)には、画工・綾戸鐘次郎藤原之信により本殿内陣の天井に44枚の極彩色の花の絵(花卉図)が描かれ、「花の天井」として有名で、毎年春と秋の年2回公開され、春の花の天井公開時には椿、秋の公開時には高雄の紅葉とともに楽しむことができます。
祭神として応神天皇(誉田別命(ほむたわけのみこと))を祀ることから、勝運や出世の神として崇められています。
また境内は高雄もみじの参道と椿でも有名で、とりわけ椿は樹齢300年を超える紅椿や、白椿伝説の樹齢200年白椿など、約200種300本の多種多様な椿を観賞できることで知られ、「椿の小径」を中心に紅葉の終わり頃から3月いっぱいまで楽しむことができます。
行事としては毎年10月に開催される例祭では「剣鉾差し」のほか、江戸時代から途切れることなく続く神事で、京都市無形民俗文化財にも登録されている「三役相撲」が行われることで有名。
地元の子供たちが大人と相撲を取り、神の加護を受けた子供が必ず勝ち名乗りを受けるのがユニークで、マスコミや報道でもよく採り上げられています。
この他に狂言や歌舞伎などの曲目「靭猿(うつぼざる)」の舞台背景となったことから芸能の神様としても知られ、「水戸黄門」など数々の時代劇が当社で撮影されるなど芸能にもゆかりのある神社です。