桃とは?
桃の節句に桃太郎、果物としても世界中で親しまれている木
DATA
学名は「Amygdalus Persica(Prunus Persica)」、英名は「Peach」。
バラ科モモ属の落葉小高木。
春の3月下~4月上旬頃に五弁または多重弁の花を枝いっぱいにびっしりと咲かせる、色は薄桃色を中心に白色から濃い紅色まで多々。
中国原産(西北部の黄河上流の高山地帯)、日本各地に自生し福島県、山梨県、長野県など降水量の少ない盆地でよく栽培されている。
高さは3~5m。
名前の由来
「桃」の字は中国からのものだが、「モモ」の名前の由来は「真実(まみ)」、実が赤いところから「燃実(もえみ)」、実が多く成ることから「百(もも)」「実々(みみ)」が転じたとするなど十数説あるらしい。
英名の「ピーチ」はペルシアが語源で、ラテン語でペルシアの林檎を意味する「persicum malum」から来ている。
歴史
中国原産(西北部の黄河上流の高山地帯)とされ、紀元前4世紀頃にシルクロードからペルシア経由で欧州に伝わった。
日本では長崎県多良見町の伊木力遺跡より縄文前期の桃核が出土しているのが国内最古、古くから桃には邪気を祓う魔除けの力があると考えられ祭祀にも用いられていたという。
その後平安・鎌倉期には主に薬用・観賞用として用いられ、食用として一般化したのは明治時代、中国から輸出された甘味の強い水蜜桃が品種改良されたものが現在の食用の桃だという。
利用・用途
食用(実)・観賞用(花)として世界各地で栽培されている。
食用(実桃)
食用となる実は夏の7~8月に実り、水分や糖分、カリウムなどを多く含む。
皮は薄く傷みやすいため生食のほかジュース(ネクター)や、シロップ漬けにした缶詰などに加工される。
観賞用(花桃)
観賞用のものは「花桃」と呼ばれる園芸品種で、源平桃(げんぺいもも)・枝垂れ桃(しだれもも)などが有名。
庭木または華道の切り花として利用される。
ちなみに「桃の花」は春の季語だが、「桃の実」は秋の季語。
よく似た植物
実は杏(あんず)によく似ている。
文化・伝統行事
3/3の雛祭り(ひなまつり)は「桃の節句」と呼ばれ、桃の加護により女児の健やかな成長を祈る行事として現代でも定着している。
「桃太郎」は桃から生まれた男の子が鬼を退治する話で、日本人なら誰もが知っている日本を代表する昔話となっている。
「安土桃山時代」と現在の「桃山」
戦国時代のうち織田信長と豊臣秀吉が活躍した時代は「安土桃山時代」と呼ばれているが、これは信長が居城とした近江(滋賀県)の安土城と、秀吉が政務を行った伏見城が秀吉の死後に取り壊されて跡地にたくさんの桃の木が植えられてのちに「桃山」の地名で呼ばれるようになったことにちなんで名づけられたもの。
そのため江戸時代に入り伏見城跡には数万本の桃の木が植えられ、「桃山」の地は吉野の桜と並ぶ花見の名所だったという。
しかし現在は宅地開発によって木は伐採されてしまい、「桃山」の地名が残されるにとどまっている(ただし近年伏見を再び桃の名所にしようと桃の木の植樹活動が行われているらしい)。