京都府久世郡久御山町佐古内屋敷、久御山町の中央、京都南道路の新開地交差点から東へ約350mに鎮座する神社で、応神天皇(おうじんてんのう)、神功皇后(じんぐうこうごう)、そして比売大神(ひめのおおかみ)の八幡神の3柱を祀る八幡宮の一社。
詳しい創建の経緯は不明ですが、江戸時代には佐古村の東明寺と法蓮寺の間で、この神社の鍵の所属、即ち祭祀権をめぐって度々争論があったといい、もっとも当社が古くから村人たちの崇敬を受けていたことは、1509年(永正6年)8月の「若宮八幡宮上葺置文」に神社の屋根を葺いたことを記した文書や、1550年(天文19年)から1748年(延享5年)までの修理・修造の経過を記した6枚の棟札から知ることができます。
江戸中期に建てられた覆屋内にある現在の本殿は小規模な三間社流造の建造物で、銅板葺で向拝を付し、前述の棟札や向拝の組物、桁、垂木等の形式手法からみて、室町後期に遡るものと思われ、南山城地方の神社の中でも室町時代の用材を多く残した本殿として貴重であり、また中近世における修理の経過も棟札から判明しており、当時の村落における鎮守の存在形態を知る上からも貴重なもので、1995年(平成7年)3月14日に京都府登録有形文化財に登録されています。
行事としては毎年10月上旬に国の発展と地域の繁栄、氏子の安寧を祈願して開催され、子供神輿が町内を巡幸する「例祭(秋祭)」のほか、毎年9月14・15日に開催され、数百個のローソクが灯され、暮れゆく境内が幻想の世界に包まれる「放生祭・千灯万灯会(せんとうまんとうえ)」などが有名。
また八幡宮の境内西側、楠の大木のある30坪ほどスペースには御社の無い石塔が20基余り積み上げられ祀られていて「野神さん」と呼ばれていますが、この野神では毎年6月5日の深夜0時より「野神の神事」と呼ばれる祭祀が行われることで知られています。
神事は灯りを点さずに暗闇の中で、終始無言で行うことが習わしで、宇治の縣神社の「あがた祭」とともに「暗闇の奇祭」として有名で、神前には全長1mにもなるジャンボ粽(ちまき)が神饌として供えられます。