京都市下京区観喜寺町、京都駅にほど近い駅の西側にある梅小路公園内にある水族館。
オリックス不動産が公園の一部と隣接地を京都市から借用する形で管理・運営し、総合管理業務はオリックス・ファシリティーズ株式会社、運営業務はオリックス水族館株式会社が行っています。
1995年(平成7年)4月29日、JR貨物(日本貨物鉄道)の梅小路駅(現在の京都貨物駅)の移転に伴い、その跡地に平安遷都1200年記念事業の一環で京都市営の総合公園「梅小路公園」が整備されてから十数年後の2008年(平成20年)、公園機能の充実や周辺地域の活性化のため、オリックス不動産によって梅小路公園の核となる施設の一つとして公園内に水族館を設置することが提案されると、2010年(平成22年)には京都市によって公園内への水族館の設置が許可され、建設工事や諸々の手続きを経て、2012年(平成24年)3月14日に開業にこぎつけました。
建物は地上3階建て、塔屋1階建で、建築面積が5,948.25m、延べ床面積が10,974.29mで、最大収容人数は5,000名。
周囲に海のない京都市において唯一の水族館にして、日本最大級の内陸型水族館であり、水槽の総容量は約3,000tの約90%に及ぶ必要海水量を、設計と建設を手掛けた大成建設の高性能濾過システムによって生み出される人工海水で全て賄うという、日本初の完全な人工海水利用型水族館となっています。
「水と共につながる、いのち。」をコンセプトに12のエリアで約250種、約1万5000点の生き物を展示しており、オットセイやゴマフアザラシ、ケープペンギンなどの海の生き物のみならず、独自の川文化を持つ京都のに生息する数多くの生き物たちも合わせて展示されており、その生態系を学ぶことができるのも魅力の一つです。
入口を入り受付を済ませるとまず目に飛び込んでくる「京の川」エリアには、京都市内の東を流れる鴨川や、京都府北部を流れる由良川の川の様子がそれぞれ一つの水槽に見事に再現されていて、中でも一番の見どころは鴨川に生息する世界最大級の両生類で、「生きた化石」とも呼ばれ国の特別天然記念物にもなっている「オオサンショウウオ」で、見た目はかなり個性的ですが、短い足でのそのそと歩く姿はどこか可愛げがあり、館内のショップにぬいぐるみなどのオリジナルグッズも販売されるなど、水族館のマスコット的な存在です。
そして京の川のコーナーの後は、海に生息する海洋生物や魚の鑑賞へ進んでいき、まず「オットセイ」エリアではコの字型の水槽の前に立つとまるでオットセイと泳いでいるような不思議な感覚が味わえるほか、「アザラシ」エリアでは円柱形の水槽の中を上下に行ったり来たりするアザラシの様子を様々な角度から観察できます。
更に黒と白のコントラストが印象的なケープペンギンのいる「ペンギン」エリアには、地上約5mの所にあるペンギン専用の散歩道「ペンギンスカイウォーク」を、1階では水中の様子を真下から観察することができるほか、2階に上がれば丘の上の様子を見ることもでき、陸をよちよち歩いている姿と水中のダイナミックな潜水姿のギャップがたまらないと好評です。
1階の一番奥にある「京の海」は高さ約6mある巨大水槽で、厚み240mmのアクリルガラス製を使用し、約500tの人工海水の中を泳ぎ回る大きな魚群を観察することができます。
1から2階が吹き抜けとなっていて、魚眼レンズや天窓、洞窟など7つのビュースポットが用意され、1mを超すマダラトビエイを始め、ホシエイ、クエ、アオウミガメなど50種を展示していますが、中でも光の反射でまるで宝石のようにキラキラと輝くイワシの群れの様子は息をのむ美しさで、見る者の心を癒してくれます。
更に2階へと上がりペンギンエリアを過ぎると、2020年7月夏に新たにオープンした「クラゲワンダー」があり、近年「生きるアート」として人気が高まっているというクラゲが西日本最多となる約20種5,000匹も展示されています。
その他にも4mを超える巨大水槽に無数のミズクラゲが幻想的に浮遊していて、宇宙空間のような世界が広がる360度パノラマ水槽「GURUI」やクラゲの繁殖、研究などの作業を行うオープンスペース「京都クラゲ研究部」もあり、水族館の新たなスポットとして話題を集めています。
そしてその先の屋外にあり開放的な180度のパノラマの広がる「イルカスタジアム」では、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は時に雪景色と四季折々の美しい京都市街の景観を臨むことができるほか、大迫力の「イルカパフォーマンス」が毎日数回開催されていて、トレーナーの合図に合わせイルカたちの迫力満点のパフォーマンスが繰り広げられると、場内は感動的な一体感に包まれます。
最終盤にはチンアナゴやクマノミなど、さんご礁のいきものたちを展示する「交流プラザ」や京都特有の生き物や希少生物をとりまく京都の歴史と文化などを紹介する「山紫水明」、そして京都の里山風景を再現する「京の里山」のコーナーを経て、出口の手前には京都水族館オリジナル商品などを販売する「ミュージアムショップ」も設置されていて、大人から子供まで家族で楽しめる充実のエリア構成となっています。
また展示だけにとどまらず、 「ワークショップ」など遊びながら学ぶことができる体験プログラムを定期的に実施しているほか、3Dライトアップやライトショーからイルカ劇場での水鉄砲ファイトなど、テーマを決めた各種イベントも頻繁に開催されていて、ショーの内容も定期的に変更されているため、何度でも足を運んでも楽しめるような工夫も施されています。