京都府城陽市奈島、青谷地域の奈島・十六地区、JR山城青谷駅から南にへ約400m進んだ住宅街の中に鎮座する神社。
祭神は大阪府大阪市住吉区の「住吉大社」に祀られている航行の神の4柱。
底筒男命(うわつつをのみこと)
中筒男命(なかつつをのみこと)
表簡男命(うわつつのをのみこと)
息長足姫命(神功皇后)(おきながのすくね(じんぐうこうごう))
旧奈島村は木津川に近く平安時代から渡し場があって宿場として栄えた場所で、松本神社も元々は木津川の畔にあって木津川の渡し場の守護神とされていましたが、その後、現在の十六地区に移されたといい、「大乗院寺社雑事記」の中の文明17年(1485年)の図で菜嶋のすぐ南にある「十六宮」が神社の前身とも考えられるといいます。
また一説には鎌倉時代の貞応年間(1222-24)に解脱上人が賀茂大明神の本地仏・十一面観音を勧請して創建し、江戸時代には「大龍権現」あるいは「大乗権現」と呼ばれ、村人からは「権現様」と呼ばれ親しまれていたともいいます。
そして明治初年の「神仏分離令」に伴う権現号の禁止によって現在の社名に改められ、祭神も大阪の住吉大社に祀られている航海の神四座が勧請されたといいます。この点「松本」の名前の由来についてはよく分かっていないといいます。
また古くから奈島に鎮座する賀茂神社と関係が深く、賀茂神社の神職が松本神社の神職を兼務するとともに、松本神社の氏子は賀茂神社の氏子でもあり、例祭「秋祭り」も毎年10月14日~16日の同じ日に開催されるといいます。
京都と奈良から五里五里の距離にありベッドタウンとして住宅地が形成される一方でのどかな田園風景もあちらこちらで見られる、そんな静かな場所に鎮座し、京都府でも最も小さいともいわれる境内地に小さな本殿と石を祀る祠が一つあるのみで、神職も常駐しておらずお守りや御朱印の授与などもない小ぢんまりとした神社ですが、近年1999年(平成11年)にジャニーズ事務所より結成され国民的アイドルグループとなった「嵐」のメンバーの「松潤」こと松本潤(まつもとじゅん 1983-)と名前が同じことからファンの間で話題に。
同じく嵐のメンバーの名前の入った滋賀県栗東市の「大野神社」や大阪府堺市と兵庫県尼崎市の「櫻井神社」、兵庫県神戸市中央区の「二宮神社」、そして福井県あわら市の御前神社内にある「相葉神社」などとともに聖地とされ、入手が困難とされる「嵐」のライブチケットの抽選祈願や嵐とそのメンバーたちの更なる活躍を祈願する多くのファンが参拝に訪れているといい、これらをすべて巡る聖地巡拝のツアーなども企画されているといいます。
2017年(平成29年)にはその「松本神社」を盛り上げようと地元の城陽市観光協会が地元の協力を得て絵馬を作成し、松本潤の誕生日である8月30日に限定で発売したところ、多くのファンが神社に押しかけただけでなく、全国各地のファンから問い合わせが殺到し、マスコミなどでも取り上げられて大きな話題を集めました。
現在は限定とせず継続して発売されることとなり、松本神社が普段は神職不在のため、近鉄寺田駅前にある城陽市観光協会のほかインターネットでも購入も受け付けているようです。
絵馬には「幸福はあなたと私の間にあって 今日に負けて明日に勝ち 日々を祈り 嵐に尽くせば」と記されていて、行頭の文字を横に読むと「嵐ちけっと幸」とライブチケットの抽選祈願に合わせた作りになっているそうです。
そして2018年(平成30年)には城陽市観光協会より松本神社の本殿に鈴緒が奉納され、再び話題となりました。