京都市下京区花屋町通壬生川西入薬園町、大宮花屋町の交差点から花屋町通を西へ進んだ先、京都の花街の一つとして知られる島原のシンボル的存在である「島原大門」のすぐ東にある、太夫ののれんが目印の京寿司・弁当の仕出し、京料理の店で、島原で唯一の置屋である輪違屋の料理の仕出しも行っているという名店。
初代・木村文治郎は四条新京極の「乙羽」にて寿司職人として修業した後、1927年(昭和2年)に創業。
暖簾分けの形で「乙羽」から「乙」の文字と自らの名前である「文治郎」の「文」を合わせて「乙文」の屋号を名乗ることとなります。
京の花街として栄華を極めた島原の大門のすぐ近くという立地も生かし店は繁昌したといい、その後、寿司だけでなく幕の内弁当をはじめとする仕出しの弁当や会席料理を提供するようになり、更に1987年(昭和62年)に大改修を行って座敷を有するようになり、2階に設けた座敷でゆっくりと会席料理や寿司を味わうこともできるようになっています。
主人自らが毎朝市場へ足を運んで選び抜いた四季折々の新鮮な食材を用い、基本の出汁はもとより食材と調理法に一切妥協せずに一品一品丁寧に調理された料理は好評で、慶事や弔事での利用のほか、何度も利用するリピーター客も多いといいます。
そして「春は花見のちらしずし、夏は京洛鱧のすし、秋は味覚の鯖姿、冬は雪見のにぎりずし」と歌われる京寿司が名物ですが、それだけでなく四季折々の新鮮な食材を使った会席料理や幕の内弁当、ふぐ・かに・鱧・特選豚しゃぶなどの鍋料理も楽しむことができ、また要望に応じて島原の太夫を呼ぶこともでき、花街のお座敷文化に触れることができるといいます。
また地域貢献にも積極的で、小学校の「出前板さん教室」の講師や、地元の島原商店街のイベントの企画などにも可能な範囲で尽力しているといいます。