「愛染明王」とは
「愛染明王」とは、密教の明王の一つで、大日如来と金剛愛菩薩の化身といわれている。
仏と人間との間にあって愛をもって両者を結ぶ役割を果たし、愛欲などの煩悩や迷いがそのまま悟りにつながることを示してくれる。
全身赤色・忿怒の相に一面三目六臂、手には弓と矢、五鈷杵・鈴・蓮を持ち、蓮華座に座り頭に獅子の冠をかぶった姿が一般的。
6本目の手は空で、願い求める物を持たせるといわれている
平安初期に弘法大師空海により唐から伝えられ、元々は不動明王とともに真言宗・天台宗の密教系の寺院で祀られていることが多かったが、現在ではその他の宗派でも信仰され、「愛染さん」の名で広く親しまれている。
密教における息災(そくさい)・増益(ぞうやく)・敬愛(きょうあい)・調伏(ちょうぶく)・鉤召(こうちょう)の五種法に通じる願いを叶えてくれるが、とりわけ良縁成就や夫婦円満を願い人々から信仰を集めていて、若い女性からも人気が高い。
また愛染が「藍染」に通じるとして、紺屋などの染物や繊維業界から商売繁盛を願い厚く信仰されているという。