京都市南区唐橋門脇町、世界遺産・東寺と朱雀大路(現在の千本通)を挟んで左右対称の位置にあった西寺跡(唐橋西寺公園)にほど近い東寺西門通沿いにある鰹節とお出汁(おだし)の製造販売を行う老舗。
1903年(明治36年)に創業、滋賀県高島郡今津町福岡(現在の高島市)にて代々庄屋職にあった釆野武雄が米や乾物を商ったのがはじまりで、その後、2代目・釆野武一の時代の大正年間に事業拡大のため京都に進出し、以来、鰹節などの乾物に主力を拡大、伏見稲荷大社や吉田神社、八坂神社、今宮神社、愛宕神社などの京都の寺社仏閣の御用達として代々乾物を奉納するほか、削りたての鰹節を料理店などに卸しています。
昭和中期、3代目・釆野弘和の時代になると家庭でも簡単に出汁をとれる方法はないかと「だしパック」が考案され、これが大ヒットとなり、その後も家庭で使える出汁パックや花鰹おなどさまざまな商品を開発・発売しており、おだしといえばうね乃といわれる存在となっています。
うね乃の「おだし」は顔の見える生産者から直接仕入れる鹿児島産の鰹節や利尻昆布を原料に、添加物は一切使用せず、昔ながらの製法で十数工程もの手間暇をかけて作られており、素材の味を損なわずに一層引き立てる存在として和食はもちろんのこち、洋食などの料理にも欠かせない存在となっています。
2016年(平成28年)6月にはもっとおだしを楽しんでもらえるようとの思いから本店のリニューアルを行い、おだしの試飲をはじめ、各種ワークショップの開催など、さまざまなおだし体験ができるようになったほか、同年9月にはより多くの方におだしを身近に感じてもらいたいとの思いから中京区の麸屋町通押小路上ルにておでん店「麸屋町うね乃」もオープンし、うね乃のおだしを使ったニ段仕込みのおでんを堪能することができます。